吸収合併における手続き(総論)

2018年11月2日

こんにちは。

司法書士・行政書士の千葉諭です。

 

組織再編の手続のひとつである合併手続。

とても難しく感じられるかもしれませんが、会社法の改正により、かなりシンプルになりました。

今回は、吸収合併の手続の概要を記載していきます。

合併契約の締結

合併を行うためには、当事者の会社間において、合併契約を締結しなければなりません。

合併契約に記載すべき事項は、会社法に定められており、消滅会社の株主に交付する対価およびその割当てに関する事項や効力発生日などを記載します。

合併契約の記載事項を詳細に述べるだけで膨大な記載量になってしまいますので、今回の総論では、この程度に留めます。

承認機関による合併契約の承認

合併契約は、効力発生日の前日までに、株主総会特別決議による承認を得る必要があります。

「株主総会」と記載しましたが、実務上は、簡易合併や略式合併の場合など、「株主総会以外の」承認機関で承認を得るだけで良いことも少なくありません。

債権者異議申述手続

存続会社と消滅会社は、双方とも、債権者に対して合併に異議があれば一定期間内に異議を申し立てることが出来る旨を官報により公告し、かつ、知れたる債権者に個別に通知を行うことが必要です。

なお、個別の通知を省略することができるケースがありますが、それは別のときに記載することにしましょう。

反対株主の株式買取請求

大まかに言えば、合併に反対する株主は、会社に対し株式の買取を請求することができるという制度です。

前回のブログで詳細に記載しましたので、概略に留めますが、当事者会社は、合併の効力発生日の20日前までに、株主に対して合併をする旨の通知(一定の場合は公告でも可)をしなければなりません。

合併に反対する株主は、効力発生日の前日までに会社に対して株式の買取請求を行うことになります。

合併に関する書類の事前備置

中小企業の合併で一番忘れやすいものではないでしょうか。

当事者会社は、合併契約書や計算書類などの一定の書類を、本店に備え置くことが必要です。

備え置く期間は、多少複雑ですが、下記のうち、いずれか早い日から効力発生日後6ヶ月を経過するまでです。

①合併を承認する株主総会の2週間前の日

②債権者異議申述手続の公告または通知をした日のいずれか早い日

③株主へ合併する旨の通知または公告をした日のいずれか早い日

④新株予約権者へ合併をする旨の通知または公告をした日のいずれか早い日

登記手続き

吸収合併の場合、存続会社は、合併の効力発生日から2週間以内に、存続会社の変更登記と消滅会社の解散登記を行います。

吸収合併の場合には、登記は効力発生要件にはなりませんので、効力発生日を法務局の閉庁日とすることも可能です。

 

吸収合併の概要としては、上記のとおりです。

一つ一つの手続を詳細に述べていくと膨大な量になってしまいますが、まずは、概要をご理解頂けると良いものと存じます。

まとめ

当事務所においては、組織再編の一つである合併、その他会社分割など、多数の案件を扱っております。

これから合併をしようとお考えの会社様、すでに手続に入っているが不明点があう会社様、など、是非、当事務所をご利用頂ければと思います。

次回は、一つ一つの手続をもう少し掘り下げてご説明できればと考えております。

引き続きよろしくお願い致します。

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